リオ五輪に向けて|体操







1960年代~1970年代中盤にかけて、
日本の体操界は、常に、世界をリードする立場にあった。


次々と新技を編み出し、世界のひのき舞台で披露する姿に、
世界中から、喝さいが浴びせられた。


90年代に低迷したものの、2004アテネ五輪において、
28年ぶりの、団体金メダルに輝いた記憶は、
今も多くの人々の心に残っている。


その後も、内村航平選手を中心に、
それなりの成績を残している日本体操界。


果たして、東京五輪に向けて、
来年に迫ったリオ五輪で、勢いを持続できるのだろうか。


他の競技と違い、団体で金メダルを獲得するには、
ある程度固定されたメンバーで戦うことが、
体操競技には、必要となってくる。


いわば、技のスペシャリストが重宝される競技は、
そんなに多くはないのだ。


アテネ以来、団体戦において、
中国の壁を崩すことには成功していないが、
そこまで力の差は大きくない。


内村選手に続ける選手を、どれだけ育成できるかが、
日本体操界の課題であり、選手層を厚くする以外に、
金メダルへの道はない。


また、どんなスポーツでも、ケガとの闘いは不可欠なものだ。


余計なトラブルを避けるためにも、代表候補にある、
学生や社会人には、特別の配慮をするなど、協会が先頭に立って、
主要大会に集中できる環境を整えることが、大切である。


競技者の本分から、外れるといった意見もあるだろうが、
どだい、すべての試合に出続けるなど、不可能なのである。


まして、技が高難度化する一方の体操競技で、
身体にかかる負担は、想像以上のものがある。


リオ五輪、東京五輪での体操競技の成功は、
選手はもとより、協会のマネジメントの手腕が、問われることだろう。






リオ五輪に向けて|レスリング







今年1月、2012ロンドン五輪で、
日本男子レスリング、24年ぶりの金メダルを獲得した、
米満達弘選手の、引退会見が行われた。


ケガの回復が思わしくないことや、階級区分の変更により、
従来よりも大変な減量になることが、理由とのことである。


キッズ・レスリング全盛の中、高校からレスリングを始め、
決してエリートではなかった、米満選手が、こつこつと努力し、
最高峰の栄誉を手にした姿は、多くの日本人に感動と共感を呼んだ。


リオ五輪、そして東京五輪において、日本男子レスリングの、
メダル連続獲得が、どこまで続くかは注目である。


3月に行われた、ロシアでの国際大会においても、
金銀銅、合わせて7個のメダルを獲得するなど、好調を維持している。


特に、86キロ級で、金メダルを獲得するなど、
これまで、日本が苦手としていた重量級の強化が、
進んでいることは、明るい材料と言えるだろう。


また、吉田選手などのスターを生んだ、
女子レスリング界も、着々と底上げが進んでいる。


特に、若手選手のみを派遣した、3月のワールドカップにおいて、
優勝を達成したことは、非常に大きな意義がある。


以前は、女子レスリング強化を進めている、県やチームが少なく、
代表選手も、一部に集中している状態だったが、
オリンピック正式競技に採用されて以来の、
代表選手の活躍によって普及が進み、多くの県やチームから、
代表選手が輩出される様になったことは、特筆すべき成果である。


来年からは、国体でも、女子レスリング競技が始まるなど、
東京五輪に向けて、レスリング界は、視界良好と言える。


この調子で、来年のリオ五輪でも、メダルラッシュを期待したい。






リオ五輪に向けて|マラソン







男女ともに、一時期は世界のトップグループに位置していた、
日本マラソン界だが、レースの高速化などに伴い、
最近は、その栄光も陰りがちになっている。


加えて、今夏の世界選手権代表選考をめぐって、騒動が起きたように、
代表選考理由の不透明さが、陰りに拍車をかけている現状がある。


選ばれた側も、選ばれなかった側も、
負担のかかる出来事を、避ける努力は、
できなかったのだろうかという、疑問が残る。


過去にも同様のことがあった。


1992年のバルセロナ五輪代表選考時の出来事で、
有森裕子と松野明美が、最後の枠を争ったのだ。


この時は、決定直前に松野が開いた、
「私を選んでください」という記者会見も、大きな話題となり、
国民的な論議を呼んだ。


その結果、有森が選ばれ、バルセロナ五輪では、
銀メダルを獲得することになるのだが、
有森と松野は、その後20年に渡って、
一度も言葉を交わしたことがなかったという。


こうした選手本人には、何の責任もない事態を招く体質が、
現在のマラソン界低迷の遠因になっているとは、考えすぎであろうか。


五輪において、男子は、1992バルセロナの森下公一、
女子は、2004年の野口みずき以来、メダリストがいない、日本代表。


実業団の都合に合わせるのではなく、
協会が責任を持って、プロジェクトチームを組み、
マラソンに特化した選手を育てるなどの、抜本的な強化がない限り、
マラソン王国の復活は、ありえないのではないだろうか。






リオ五輪に向けて|フェンシング







2008北京五輪で、個人銀メダル、
2012ロンドン五輪で、団体銀メダルと好成績をあげ、
太田雄貴というスターを生み出した、日本フェンシング界だが、


リオ五輪、そして、東京五輪を視野に入れてみると、
若干、今後に不安を抱かざるを得ないというのが、正直なところである。


昨年、ロシアで開催された世界選手権においても、
個人・団体共に、低調な成績に終わっている。


一定の結果を残したことで、ハングリーさがなくなったのだろうか。


活躍したことで、他のいろんな仕事が入り、
競技に集中できない事態に陥ることは、
どの競技でも起こりうることである。


加えて、マイナースポーツの場合は、
普及にも努めなければならず、その忙しさは、
それまでの生活スタイルを、がらりと変えてしまうことだろう。


こういう時こそ、長期的な展望を見据えて、
選手強化を図っていく必要がある。


幸い、これまでは、五輪メダルに近いフルーレを、
重点的に強化してきた方針を、東京五輪を見据え、
全種目でメダルを狙える実力をとの方針で、協会は望んでいるようである。


その成果は、世界トップとの差が大きかった、
エペとサーブルにおいて、世界選手権では、団体で順位が向上するなど、
少しずつではあるが地力を上げていると言える。


正直、リオ五輪においては、
過去2大会の様な活躍は、見られないかもしれない。


しかし、東京五輪を見据え、各種目の底上げを図り、
世代交代を推し進めている協会の姿勢は、称賛すべきものである。


その成果が、東京五輪で大輪の華を咲かせる姿が、今から楽しみだ。






リオ五輪に向けて|バスケット







女子はともかく、男子は長らく、
オリンピックの舞台から遠ざかっている、バスケット日本代表チーム。


そこに加えて、組織統一のごたごたから、
国際バスケット連盟から勧告を受けるなど、大きな岐路に立っている。


このままでは、五輪予選への出場も怪しくなってくる状態で、
サッカーJリーグの、元チェアマンである、川淵氏をチェアマンに据え、
打開を図っているものの、予断を許さない状況となっている。


これでは、バスケットに携わっている選手やファン、
将来活躍を夢見る子供達に、決していい影響は与えない。


何とかして、早く立ち直ってもらいたいものだ。


ところで、男女通じて、バスケット日本代表が、
国際大会であげた最高成績が、何であるか知っている人は、
どれくらいいるのだろう。


答えは、1975年の世界選手権で、なんと準優勝、
銀メダルに輝いているのである。


しかも、MVPは、普通優勝チームから出るものだが、
得点王を獲得した、日本の生井けい子選手が、ダブル受賞しているのだ。


次の年に行われた、モントリオール五輪においても、
5位入賞という成績を残していることは、ほとんど知られていない。


他のスポーツなら、その競技における歴史なり、
活躍選手を、語り継いでいるものだ。


ところが、バスケットにおいては、
企業スポーツが中心だったせいなのか、
あまり、歴史を語り継いできていないような、印象を受ける。


組織統一などで、ごたごたしている今だからこそ、
過去の歴史を見つめ直し、誇りを持って語り継いでいくことが、
大切なのではないだろうか。


日本バスケット界の再生は、
そうした地道な運動によって、できていくと信じたい。






リオ五輪に向けて|アーチェリー







アーチェリー日本代表が、初めて国際大会で、
メダルに到達したのは、今から40年前の世界選手権において、
男子団体で、銀メダルを獲得した時である。


翌年行われたモントリオール五輪で、道永宏選手が銀メダルを獲得してから、
2016リオ五輪で、40年の節目の年を迎える、アーチェリーには、
メダル獲得の期待が高まっている。


アーチェリーが急成長した背景には、ボーリング人気の衰退を受け、
手軽にスポーツが楽しめる競技として、全国的に競技場が増えたことだった。


いつの時代も、スポーツの成長の背景には、社会的背景が隠されている。


オリンピックでの最高成績は、銀メダルだが、
世界選手権においては、河淵志津子選手が、
1978年に、金メダルを獲得している。


現在に至るまで、アーチェリー界唯一の、世界大会における金メダルで、
2020東京五輪では、悲願の金メダルを、ぜひとも獲得してもらいたいものだ。


その後、一時期成績が下降するものの、2004アテネ五輪で、
山本博が、1984ロス五輪以来のメダリストとなったことで、
再び注目を集めることとなった。


この流れが維持され、2006ワールドカップで、団体優勝、
世界ランキングで、初めて1位になるなど、紆余曲折ありながらも、
日本人が、国際舞台で安定した成績を収めている、競技の1つである。


他の競技と比べて、競技年齢が長いことも、
日本人向けと言えるかもしれない。


夏には、リオ五輪の出場権をかけた、世界選手権が開催される。
日本人選手の活躍に注目だ。






リオ五輪に向けて|男子バレー







長い低迷の時期を脱し、2008北京五輪出場を果たしたものの、
五輪で、初めて1勝も出来なかった時から、
男子バレーの凋落は、予想されたものだった。



2012年、ロンドン五輪出場を逃し、
2013年、初の外国人監督を招聘するものの、
コミュニケーション不足を理由に、わずか1年で解任するなど、
女子が今後に期待が持てるのに対して、男子は迷走が続いている。



このままでは、リオ五輪出場はおろか、
2020東京五輪でも、目立った成績は残せそうにない。



果たして、日本男子バレーに未来はあるのだろうか。



今年のV・プレミアリーグは、JTが初優勝を果たしたが、
優勝したJT、準優勝のサントリー、3位に躍進した田合成の、
監督は、いずれも外国人監督だ。



まことに皮肉としか、言いようがない。



もちろん、代表チームとクラブチームの違いはあるにせよ、
そこには、言葉の壁によるコミュニケーション不足の、影響は感じられない。



野球やサッカーなど、他のスポーツを見ても、
外国人監督は、優秀な成績を残している人が多い。



要は、バレー界の体質が、
まだまだ、閉鎖的なだけではないだろうか。



かつて、アジア3強と言えば、
日本、韓国、中国だった男子バレーだが、
今ではイラン、インド、カタールなど、
どんどんレベルが向上し、特にイランは、
世界ランキングもトップ10に入るなど、世界の強豪となりつつある。



昨年のアジア大会で、準優勝するなど、
少しは明るい兆しのある、日本男子バレー。



ぜひともリオ五輪出場を果たし、
2020東京五輪への、いい流れを作ってもらいたい。






リオ五輪に向けて|男子サッカー







2012ロンドン五輪で予想外の快進撃を見せ、
4位に入った男子サッカー日本代表。



しかし、そこからU-23世代は、
フル代表の主力を担うほどの力はなく、
結果として、ワールドカップは惨敗。
続くアジアカップでも、準々決勝敗退と苦戦が続いている。



次のワールドカップ、さらには2020東京五輪でメダルを獲得すべく、
2016リオ五輪には、是が非でも出場を果たし、
好成績を上げることで、地に落ちた代表の価値を、
上げていきたいところだが、リオ五輪出場を果たすには、
相当な茨の道が待ち受けている。



1次予選を比較的無難に勝ち進み、2016年1月12日から、
カタールで行われるAFCU-23本大会への出場を、
決めた男子サッカー日本代表。



本大会は16チームが、4グループに分かれ総当たりを行い、
各組の上位2チームが、決勝トーナメントに進む方式となっている。



要するに、アジアカップと同じ方式だ。



最近の若い世代にとって、準々決勝突破が、
鬼門となっているだけでなく、抽選において、
日本は、第一シードから外される可能性が高いと言われており、
最近の五輪予選と異なり、かなり厳しい戦いが予想される。



世界大会を経験していないばかりか、
所属クラブでも、レギュラーになりきれていない面々が、
中心のチームでは、非常に心もとないのが現状である。



幸い、アギーレ監督に代わり就任した、
フル代表のハリルホジッチ監督は、
世代交代をかなり推し進めてくれると、期待できる監督だ。



来年のU-23本大会までに、多くのU-23世代が、
フル代表を経験し、個の力と組織力を少しでも向上させ、
リオ五輪に出場してくれることを願ってやまない。






リオ五輪に向けて|水泳







オリンピックにおいて、日本のお家芸の1つである水泳。



一時期の低迷を経て、北島康介という、
スターを中心に、2000年代を席巻した。



他の競技に比べても、世代交代が順調に進んでいる方で、
2012ロンドン五輪においては、金メダルの獲得こそ、
無かったものの、男子が銀メダル2個、銅が3個、
女子が銀1、銅4と、層の厚さを見せつけた。



何よりも、水泳チーム全体の雰囲気の良さが、
成績以上に観る者の心を熱くさせ、感動を呼んだ。



日本人に不可欠な結束力の高さは、期待されながら、
実力を発揮できずに敗れ去っていった選手の多かった、
過去の時代と比べると、隔世の感があるといってもいいだろう。



現在、日本水泳界のエースと言える存在は、
ロンドン五輪時にはまだ高校生だった、荻野公介選手だ。



ロンドン五輪では、日本人初の400m個人メドレーで、
銅メダルを獲得し、高校生では56年ぶりの、
メダリスト誕生となった。



昨年のアジア大会ではMVPに選ばれ、リオ五輪、
さらには2020東京五輪に、期待の持てる存在だ。



荻野選手以外にも、この年代には、実力のある選手が、
ひしめいており、今後の活躍が期待されている。



唯一不安なのは、メダルを獲得できる選手と、
そうでない選手との、差が開き始めているのが、
気になるところだ。



それによって、一部の選手達の強化だけに走り、
日本の良さである、”和” を尊んだチーム力だけは、
失ってもらいたくない。



今年の世界選手権、来年のリオ五輪の成果に期待したい。






リオ五輪に向けて|女子バレー







前回のロンドン五輪でロス五輪以来、
実に28年ぶりの銅メダルを獲得した女子バレーボールチーム。



この勢いに乗ってリオ五輪、さらには次の、
2020東京五輪で久々の金メダル獲得といきたいところだが、
事はそう簡単に進むものではない。



”ハイブリッド6”という新戦術も、どこまで機能するかは未知数で、
場合によっては、2000シドニー最終予選の時の様な、
悪夢の予選落ちだって十分に考えられるのだ。



前回、銅メダルを獲得できたのは、鬼門となっていた、
準々決勝を中国との激闘の末に突破できたことである。



2004、2008と簡単に跳ね返されていた高い壁を乗り越えられたのは、
眞鍋監督始め、スタッフの手腕に他ならない。



勝つための最良の選択を追い求め、適材適所に、
メンバーを配置した眞鍋監督の起用法が功を奏したのだ。



かつての様な日立、ユニチカなどクラブチームが、
そのまま代表に直結していた時代と異なり、
今の時代は、各チームからメンバーが選ばれているため、
監督の手腕が余計大事になっているのだ。



反面、チームとしてのケミストリーがうまくいくかどうかは、
その都度微妙なものがある。



特にセッターの竹下選手と、キャプテンだった荒木選手の存在が、
ロンドン五輪時には大きかった。



体格面で劣る日本代表が世界と互角に戦うには、
チームの強力な結束力が不可避である。



まずは8月から始まるワールドカップで上位2チームに入り、
リオ五輪出場を早々と決めてくれることを期待したい。