男女ともに、一時期は世界のトップグループに位置していた、
日本マラソン界だが、レースの高速化などに伴い、
最近は、その栄光も陰りがちになっている。
加えて、今夏の世界選手権代表選考をめぐって、騒動が起きたように、
代表選考理由の不透明さが、陰りに拍車をかけている現状がある。
選ばれた側も、選ばれなかった側も、
負担のかかる出来事を、避ける努力は、
できなかったのだろうかという、疑問が残る。
過去にも同様のことがあった。
1992年のバルセロナ五輪代表選考時の出来事で、
有森裕子と松野明美が、最後の枠を争ったのだ。
この時は、決定直前に松野が開いた、
「私を選んでください」という記者会見も、大きな話題となり、
国民的な論議を呼んだ。
その結果、有森が選ばれ、バルセロナ五輪では、
銀メダルを獲得することになるのだが、
有森と松野は、その後20年に渡って、
一度も言葉を交わしたことがなかったという。
こうした選手本人には、何の責任もない事態を招く体質が、
現在のマラソン界低迷の遠因になっているとは、考えすぎであろうか。
五輪において、男子は、1992バルセロナの森下公一、
女子は、2004年の野口みずき以来、メダリストがいない、日本代表。
実業団の都合に合わせるのではなく、
協会が責任を持って、プロジェクトチームを組み、
マラソンに特化した選手を育てるなどの、抜本的な強化がない限り、
マラソン王国の復活は、ありえないのではないだろうか。